江戸川乱歩「少年探偵団」別役みか朗読

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別役みか朗読「少年探偵団」のろいの宝石江戸川乱歩

のろいの宝石

さて、門の前に遊んでいた女の子がさらわれた、その夜のことです。篠崎始君のおとうさまは、ひじょうに心配そうなごようすで、顔色も青ざめて、おかあさまと始君とを、ソッと、奥の座敷へお呼びになりました。
始君は、おとうさまの、こんなうちしずまれたごようすを、あとにも先にも見たことがありませんでした。
「いったい、どうなすったのだろう。なにごとがおこったのだろう。」
と、おかあさまも始君も、気がかりで胸がドキドキするほどでした。
おとうさまは座敷のとこの間の前に、腕組みをしてすわっておいでになります。その床の間には、いつも花びんのおいてある紫檀したんの台の上に、今夜はみょうなものがおいてあるのです。
内がわを紫色のビロードではりつめた四角な箱の中に、おそろしいほどピカピカ光る、直径一センチほどの玉がはいっています。
始君は、こんな美しい宝石が、おうちにあることを、今まで少しも知りませんでした。
「わたしはまだ、おまえたちに、この宝石にまつわる、おそろしいのろいの話をしたことがなかったね。わたしは、そんな話を信じていなかった。つまらない話を聞かせて、おまえたちを心配させることはないと思って、きょうまでだまっていたのだ。
けれども、もう、おまえたちにかくしておくことができなくなった。ゆうべからの少女誘かいさわぎは、どうもただごとではないように思う。わたしたちは、用心しなければならぬのだ。」
おとうさまは、うちしずんだ声で、何かひじょうに重大なことを、お話になろうとするようすでした。

青空文庫より

2016年12月1日

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