2015年10月

  • 皆様有り難うございます。

    青空文庫作品の朗読作品を動画にしてYouTubeに登録するようになって1年半。

    昨夜、総視聴回数が10万回を越えました。

    日本以外では

    アメリカ 台湾 韓国 タイ オーストラリア ドイツ フランス ブラジル スペイン の順に世界中の皆さんに聞いていただいています。

    日本のラジオやテレビで放送出来る、録音作品作りを最低目標に、

    一作品 一作品 メンバーが心を込めて朗読しています。

    これからもよろしくお願い致します。

     

  • 青空文庫名作文学の朗読 朗読カフェSTUDIO
    野村胡堂、銭形平次捕物控 お藤は解く
    萩柚月さんの朗読


  • 朗読カフェSTUDIO
    青空文庫名作文学の朗読
    西村俊彦朗読「最小人間の怪」海野十三

    最小人間の怪

    ――人類のあとを継ぐもの――

    海野十三

    この秘話ひわをしてくれたN博士も、先々月この世を去った。今は、博士の許可を得ることなしに、ちょっぴり書き綴つづるわけだが、N博士の霊魂なるものがあらば、にがい顔をするかもしれない。
    以下は、N博士の物語るところだ。
    私は大正十五年十二月二十六日の昼間、霧島の山中において、前代未聞の妖怪に出会った。
    当時私は、冬山における動物の生態研究をつづけていたのだ。
    私はキャンプを張り、幾週間も山中で起き伏ふしていた。あたりはかなり深い山懐で、木樵きこりも見かけず、猟師にさえ会わなかった。私ひとりでこの深山しんざんを占有しているような気持がし、私の心は暢々ちょうちょうとしていた。
    或る朝、起きてキャンプを出てみると、外は真白になっていた。降雪こうせつが夜のうちにあったのだ。そしてその日、妖怪に出会ったのである。
    その妖怪は雪どけの水が落ちて、水溜を作っているそのそばにいた。はじめは蛙かえるの子がうごめいているように思ったが、蛙の子にしてはすこし変なので、よく見ると、それはふしぎにも人間の形をしたものであった。が、人間ではない。背丈が二三センチに過ぎなかった
    青空文庫より


  • 朗読カフェSTUDIO 青空文庫名作文学の朗読 
    海渡みなみ朗読、林芙美子「美しい犬」

    美しい犬
    林芙美子
    遠いところから北風が吹きつけている。ひどい吹雪だ。湖はもうすっかり薄氷をはって、誰も舟に乘っているものがない。
    ペットは湖畔に出て、さっきからほえたてていた。ペットはモオリスさんの捨犬で、いつも、モオリスさんの別莊のポーチで暮らしている。野尻湖畔のモオリスさんの別莊へ來た時は、ペットはまだ色つやのいい、たくましいからだつきをしていた。
    モオリスさんは、戰爭最中に、アメリカへ一家族でかえってしまった。ペットは柏原の荒物屋にお金をつけてもらわれて來たのだけれども一週間もすると、つながれた鎖をもぎはなして、ペットは野尻へ逃げていってしまった。それからは、モオリスさんのおとなりにいた白系露人のガブラシさんに、かわいがられて暮らしていたのだけれど終戰と同時に、ガブラシさんも一家族で横濱へいってしまった。
    ペットはガブラシさんにも別れて、食べものもなく、すっかり、昔の美しい毛なみをうしなって、よろよろと野尻の湖畔を野良犬になって暮らしていた。
    青空文庫より


  • 青空文庫名作文学の朗読 朗読カフェ第5回ライブ 岩見聖次朗読「女」芥川龍之介

    芥川龍之介
     雌蜘蛛めぐもは真夏の日の光を浴びたまま、紅い庚申薔薇こうしんばらの花の底に、じっと何か考えていた。
     すると空に翅音はおとがして、たちまち一匹の蜜蜂が、なぐれるように薔薇の花へ下りた。蜘蛛くもは咄嗟とっさに眼を挙げた。ひっそりした真昼の空気の中には、まだ蜂はちの翅音の名残なごりが、かすかな波動を残していた。
     雌蜘蛛はいつか音もなく、薔薇の花の底から動き出した。蜂はその時もう花粉にまみれながら、蕊しべの下にひそんでいる蜜へ嘴くちばしを落していた。
     残酷な沈黙の数秒が過ぎた。
     紅い庚申薔薇こうしんばらの花びらは、やがて蜜に酔よった蜂の後へ、おもむろに雌蜘蛛の姿を吐はいた。と思うと蜘蛛は猛然と、蜂の首もとへ跳おどりかかった。蜂は必死に翅はねを鳴らしながら、無二無三に敵を刺さそうとした。花粉はその翅に煽あおられて、紛々と日の光に舞い上った。が、蜘蛛はどうしても、噛みついた口を離さなかった。
    青空文庫より

  •  朗読カフェSTUDIO 青空文庫名作文学の朗読 岩見聖次朗読「沼地」芥川龍之介

    沼地
    芥川龍之介
     ある雨の降る日の午後であった。私わたくしはある絵画展覧会場の一室で、小さな油絵を一枚発見した。発見――と云うと大袈裟おおげさだが、実際そう云っても差支えないほど、この画だけは思い切って彩光の悪い片隅に、それも恐しく貧弱な縁ふちへはいって、忘れられたように懸かっていたのである。画は確か、「沼地」とか云うので、画家は知名の人でも何でもなかった。また画そのものも、ただ濁った水と、湿った土と、そうしてその土に繁茂はんもする草木そうもくとを描かいただけだから、恐らく尋常の見物からは、文字通り一顧さえも受けなかった事であろう。
    青空文庫より


  • 青空文庫名作文学の朗読 朗読カフェSTUDIO 西村俊彦朗読「夜釣」泉鏡花

    夜釣

    泉鏡花
    これは、大工、大勝だいかつのおかみさんから聞いた話である。

    牛込築土うしごめつくど前の、此の大勝棟梁のうちへ出入りをする、一寸ちょっと使へる、岩次いわじと云つて、女房持、小児こどもの二人あるのが居た。飲む、買ふ、摶ぶつ、道楽は少すこしもないが、たゞ性来の釣好きであつた。
    またそれだけに釣がうまい。素人しろとにはむづかしいといふ、鰻釣の糸捌いとさばきは中でも得意で、一晩出掛けると、湿地で蚯蚓みみずを穿ほるほど一かゞりにあげて来る。
    「棟梁、二百目が三ぼんだ。」
    大勝の台所口へのらりと投込むなぞは珍しくなかつた
    青空文庫より


  • 青空文庫名作文学の朗読 朗読カフェSTUDIO 兼定将司朗読「酔へ!」 ボードレール
    青空文庫より
    酔へ!
    ボードレール
    富永太郎訳
    常に酔つてゐなければならない。ほかのことはどうでもよい――ただそれだけが問題なのだ。君の肩をくじき、君の体からだを地に圧し曲げる恐ろしい「時」の重荷を感じたくないなら、君は絶え間なく酔つてゐなければならない。
    しかし何で酔ふのだ? 酒でも、詩でも、道徳でも、何でも君のすきなもので。が、とにかく酔ひたまへ。
    もしどうかいふことで王宮の階段の上や、堀端の青草の上や、君の室の陰惨な孤独の中で、既に君の酔ひが覚めかゝるか、覚めきるかして目が覚めるやうなことがあつたら、風にでも、波にでも、星にでも、鳥にでも、時計にでも、すべての飛び行くものにでも、すべての唸くものにでも、すべての廻転するものにでも、すべての歌ふものにでも、すべての話すものにでも、今は何時だときいてみたまへ。風も、波も、星も、鳥も、時計も君に答へるだらう。「今は酔ふべき時です! 『時』に虐げられる奴隷になりたくないなら、絶え間なくお酔ひなさい! 酒でも、詩でも、道徳でも、何でもおすきなもので。」