喜多川拓郎

  • 喜多川拓郎朗読 高村光太郎 智恵子抄「レモン哀歌」

    智恵子抄

    高村光太郎

    レモン哀歌

    そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
    かなしく白くあかるい死の床で
    わたしの手からとつた一つのレモンを
    あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
    トパアズいろの香気が立つ
    その数滴の天のものなるレモンの汁は
    ぱつとあなたの意識を正常にした
    あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
    わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
    あなたの咽喉のどに嵐はあるが
    かういふ命の瀬戸ぎはに
    智恵子はもとの智恵子となり
    生涯の愛を一瞬にかたむけた
    それからひと時
    山巓さんてんでしたやうな深呼吸を一つして
    あなたの機関はそれなり止まつた
    写真の前に挿した桜の花かげに
    すずしく光るレモンを今日も置かう

    昭和一四・二

  • 喜多川拓郎朗読「どんぐりと山猫」宮沢賢治

     
    どんぐりと山猫
    宮沢賢治
     おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。

    かねた一郎さま 九月十九日
    あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。
    あした、めんどなさいばんしますから、おいで
    んなさい。とびどぐもたないでくなさい。
                    山ねこ 拝

     こんなのです。字はまるでへたで、墨すみもがさがさして指につくくらいでした。けれども一郎はうれしくてうれしくてたまりませんでした。はがきをそっと学校のかばんにしまって、うちじゅうとんだりはねたりしました。
     ね床どこにもぐってからも、山猫のにゃあとした顔や、そのめんどうだという裁判のけしきなどを考えて、おそくまでねむりませんでした。
     けれども、一郎が眼めをさましたときは、もうすっかり明るくなっていました。おもてにでてみると、まわりの山は、みんなたったいまできたばかりのようにうるうるもりあがって、まっ青なそらのしたにならんでいました。一郎はいそいでごはんをたべて、ひとり谷川に沿ったこみちを、かみの方へのぼって行きました。
     すきとおった風がざあっと吹ふくと、栗くりの木はばらばらと実をおとしました。一郎は栗の木をみあげて、
    「栗の木、栗の木、やまねこがここを通らなかったかい。」とききました。栗の木はちょっとしずかになって、
    「やまねこなら、けさはやく、馬車でひがしの方へ飛んで行きましたよ。」と答えました。
    「東ならぼくのいく方だねえ、おかしいな、とにかくもっといってみよう。栗の木ありがとう。」
     栗の木はだまってまた実をばらばらとおとしました。
     一郎がすこし行きますと、そこはもう笛ふえふきの滝たきでした。笛ふきの滝というのは、まっ白な岩の崖がけのなかほどに、小さな穴があいていて、そこから水が笛のように鳴って飛び出し、すぐ滝になって、ごうごう谷におちているのをいうのでした。
    青空文庫名よ


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    宮沢賢治 よだかの星

    8月のライブの前にSTUDIOで録音しました。
    録音協力 サロン・ド・アクトゥリス
    音楽 中北利男


  • 2014年8月29日
    六本木シンフォニーサロン
    宮沢賢治、セロ弾きのゴーシュ
    語り 西村俊彦
    ゴーシュ 岩見聖次
    楽長 田中智之
    三毛猫 岡田慎平
    カッコウ 別役みか
    狸の子 坂下純美
    野ねずみ母 峰松希匡
    子 島崎ゆか
    司会 二宮隆
    バイオリン 岡田慎平